Amazon ElastiCache for RedisとAmazon MemoryDB for Redisの正式名称が変わっている様です

Amazon ElastiCache for RedisとAmazon MemoryDB for Redisの正式名称が変わっている様です

Clock Icon2024.09.29

しばたです。

以前こちらの記事を書いた際に発見した話なのですが、2024年7月30日にリリースされているAWS CLI Ver.2.17.19において

  • api-change:elasticache: Renaming full service name as it appears in developer documentation.
  • api-change:memorydb: Renaming full service name as it appears in developer documentation.

という更新がありました。

ElastiCacheとMemoryDBで名称変更といえばRedisのライセンス改定に関連するものしか思いつかず、調査したところ実際にこの件を受けたものでした。

Redisライセンス改定のおさらい

Redisのライセンス改定は今年の3月にアナウンスされ、Redis 7.4より従来の3条項BSDライセンスからRedis Source Available License (RSALv2)とServer Side Public License (SSPLv1)のデュアルライセンスに変わった件となります。

https://redis.io/blog/redis-adopts-dual-source-available-licensing/

詳細はPublickeyや技術評論社の記事が詳しいのでまずはこちらをご確認ください。

https://www.publickey1.jp/blog/24/redisredis.html

https://gihyo.jp/article/2024/03/redis-dual-licensing

この改定によりクラウドベンダーがRedis 7.4以降を使ったホスティングサービスを提供するにはRedis社との契約が必要になるのに加え、「Redis」を含むサービス名に対する制限が設けられた[1]形となります。

AWSの対応方針

この改定に対し当時から現在に至るまでAWSは正式なコメントを出していません。

とはいえ本日時点で実際のサービス名やドキュメント上の表記が変わっている以上「Redis社とは契約しない方向」で進んでいるのだと思います。

これ以上の情報は無く、将来的にどうするのかは一切不明です。

新しいサービス名

公式ページでサービス名を確認すると現在はそれぞれ Amazon ElastiCache with Redis OSS compatibilityAmazon MemoryDB という名称になっています。

amazon-elasticaech-for-resdis-and-amazon-memorydb-for-redis-was-renamed-01

amazon-elasticaech-for-resdis-and-amazon-memorydb-for-redis-was-renamed-02

両者とも「for Redis」の文言が除かれ、ElastiCacheについてはライセンス変更の影響を受けないバージョンの使用[2]表明するための「Redis OSS compatibility」が代わりに追加されています。
MemoryDBに「Redis OSS compatibility」が付いていないのは、MemoryDBはRedis API・プロトコル互換なだけでコードベースが別なためだと予想されます。[3]

また、マネジメントコンソール等では ElastiCache (Redis OSS)Redis OSS Cache の表記をされることもあります。
弊社SlackやSNSの反応を見る限りマネジメントコンソールの表記は2024年7月中旬~下旬ごろに変更された様です。

amazon-elasticaech-for-resdis-and-amazon-memorydb-for-redis-was-renamed-03
マネジメントコンソールの表記も7月中旬~下旬に更新済み

ちなみに ElastiCache for Memcached は名称変更されていませんが、Redisと対になる様に ElastiCache (Memcached)Memcached Cache の表記をされることがあります。

ここまでを表にまとめると以下の通りです。

旧名称 現名称 特記事項
ElastiCache for Redis Amazon ElastiCache with Redis OSS compatibility ElastiCache (Redis OSS) や Redis OSS Cache の表記をされることもある
Amazon MemoryDB for Redis Amazon MemoryDB
- ElastiCache for Memcached Memcachedは名称変更なし。ElastiCache (Memcached) や Memcached Cache の表記をされることがある

APIは変更無し

今回の変更は名称のみであり、サービスの名前空間やREST API、各種SDKへの影響はありません。

いつ頃変わったのか?

AWS CLIの更新ではユーザーガイド等の開発者向けドキュメントの更新だけ触れていますが、Internet Archiveで公式ページの変更履歴を調べると

  • Amazon ElastiCache with Redis OSS compatibility : 2024年6月22日 ~ 2024年6月29日のどこか
  • Amazon MemoryDB : 2024年6月1日 ~ 2024年6月8日のどこか

のタイミングで名称変更されていました。

両者の公式ページは毎週アーカイブされており、これを誰が行っているかは不明ですが私以外にも何らかの調査をしている人がいる様です。
おかげで私も助かりましたがちょっと怖いですね...

利用者はどの名称を使うべきか?

私自身非常に困っているのですが、この名称変更についてAWSからまだ正式なアナウンスが出ていません。

「アナウンスが出てないものの公式ページやドキュメントが全て変わっている以上新しい名称を使うべき」と言えるし、「アナウンスが出ていない以上旧称を使い続けるのが正しい」とも言えます。

今のところは「Redis」に触れない形の Amazon ElastiCacheAmazon MemoryDB を使うのが安全そうです。

余談 : AWSとValkeyとの関係に関して

Redisのライセンス改定があった際にAWSはValkeyのサポートを表明しましたが、今日に至るまでValkey GLIDEのサポートを追加したこと以外に大きな変化は無い状況です。

https://aws.amazon.com/jp/blogs/opensource/why-aws-supports-valkey/

Valkey自体は少し前にメジャーバージョンアップとなるValkey 8.0がリリースされており、また、Google CloudからValkeyのマネージドサービスとなるMemorystore for Valkeyがプレビュー提供されるなど活発な開発がされています。

https://dev.classmethod.jp/articles/redis-oss-valkey-google-cloud-memorystore-for-valkey-preview/

個人的にはもう少しAWSからも何らかの発表があって良い気がしていますが、現状何も無いので今後に期待したいですね。

最後に

以上となります。

以前の記事の反響が大きすぎたので本記事の公開はしばらく控える様にしてたのですが、2ヶ月待ってもAWSから公式のアナウンスが無かったので記事を公開しました。

ライセンスに関わる話で公にしにくい事情はわかりますが、名称変更は重要なので公式にアナウンスを出してほしいというのが率直な気持ちです。

脚注
  1. どうもこちらはライセンス改定と同時に商標ポリシーを更新した結果の模様 ↩︎

  2. 実際に記事公開時点で利用可能な最新バージョンはRedis OSS 7.1 ↩︎

  3. 実際にコードベースが別かどうかは公表されていないので注意。とはいえアーキテクチャを考えると同じだとは思えませんが... ↩︎

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